呼吸の重要性

こんにちは!皆川です。

私が推奨している「姿勢、内臓、呼吸、血流、考え方(普段の思考癖)の5つを改善しながら生活習慣を変えていくと痛みは改善に向かっていく」という考え方ですが、よくある質問で、「何で呼吸が関係しているの?」という質問を多く受けます。

何気なく普段からあまり意識せずに行っている「呼吸」、意外と知られていない「呼吸の重要性」を説明していきたいと思います。これを読んだら、「ああ、こんなにも重要だったんだなあ~」としみじみと感じてくると思います。
「たかが呼吸、されど呼吸」、一呼吸の中にも多くの働きがあることで、私達の身体は「生かされている」のです。

「呼吸の仕組み」
普通に呼吸するときは、息を吸うとお腹が膨らみ、吐くと元に戻ります。なぜ、そのようになるかというと、横隔膜(横隔膜は膜ではなく、呼吸する上で重要な呼吸筋です。)が収縮する(下に下がる)とき、押し下げられた腹部の内臓が前に押し出さられるからです。
横隔膜は厚さ2mm程の薄い筋肉で、肋骨の下部の縁に付着し後方には背骨、前方は胸郭(肋骨を含む胸全体、肺を守る籠のような感じ)の下端に付着しています。ドーム型をした中央部は、前側の下部肋骨と乳頭の高さのラインの中間あたりに位置し、横隔膜の上には心臓と肺、下には肝臓、胃、腸があります。
横隔膜には、肺を包む胸膜と呼ばれる結合組織が付着しており、横隔膜が収縮すると腹部の天井にあたるドーム部分が平らになって肺が下に引っ張られますが、こうして肺が引き伸ばされることで、肺組織を形成している肺胞に真空が生じます。その真空を満たすため、空気が気道を通って流れ込んできます。
息を吐くときには、横隔膜が弛緩して、再びドーム状に戻ることで空気が押し出されます。つまり、呼吸は自動的反応であって、やらされているわけではないのです。

少し、横隔膜を感じてみましょう。横隔膜が下がるのはわずか2.5cmですが、それだけでも腹部には相当な圧力がかかります。わかりやすいのは、お腹一杯のときです。横隔膜が動くことで腸がマッサージされ、消化が促されます。また、横隔膜は姿勢にも影響を与えます。一つは、息を吸うとき胸郭内が陰圧になること(横隔膜が下がることにより、肺にマイナスの圧力がかかることで空気が入ってくる)で胸が持ち上がります。そしてもう一つ、息を吐くことで横隔膜の動きを妨げるものがなければ、呼吸は姿勢を引き上げてくれるのです。しかし、身体の他の部位が緊張していると、横隔膜の動きは簡単に妨げられるのです。

その他に呼吸に関わる筋肉としては、肋骨を広げるための肋間筋です。肋間筋は3層構造になっていて、肋骨1本1本を回転させながら動かします。息を吸うときに肋骨が膨らむ、或いは広がるのを感じたことがあると思います。実は肋骨が回転しているのです。肋骨の後側で起こる動きによって胸郭の前側が持ち上がり、ごくわずかですが、椎骨の間が開くことで背骨が伸びて、柔軟性が保たれます。
ちょうど背骨と肋骨が交わるところは、背中の緊張と呼吸が深く関係します。背骨に沿っている筋肉が緊張しすぎると、肋骨は回転できなくなります。なので健康的に呼吸するには、肋骨が背骨に対し動かなければいけませんし、背骨が柔軟でなければいけません。姿勢を保つためには、どちらも欠かすことができない重要なことなのです。

また、首の横についている筋肉、斜角筋も息を吸うときに収縮して肋骨(上部肋骨、上から1,2番目)を持ち上げます。斜角筋は、通常の自発的な呼吸を補助しますが、他の呼吸筋が働けないときには強く働きます。これはあらゆる緊張時に起こる反応です。試しに指で首に触れたまま緊急時(ストレスや過去嫌な事を思い出しながら)の呼吸をすると、斜角筋が硬直したり下から押し返すような反応をするかと思います。これは過去のトラウマや圧倒されるような過緊張の出来事のせいで横隔膜が上手く働かなくなり、その代わりに斜角筋が引き受けることになります。腹部が慢性的に緊張している場合も、横隔膜の動きが制限され、斜角筋に負担がかかることになります。斜角筋は首をまげたり、回したりする仕事もあるので、呼吸の制限と首の問題に深く関わってくるのです。
腹筋に健全な働きがあれば、背骨が支えられ呼吸や消化が助けられます。しかしお腹の上部が緊張したままだと、横隔膜は上手く降りられず、呼吸によって自然に起こるはずの胸の上下運動が起こりません。例えば、身体を細くみせたり、腹筋を固めておくことが癖になっている、正しくない腹筋運動をしているときや、あるいは、感情面での抑制、消化器系の問題からもこのような緊張がおこることがあります。腹筋の間違った緊張は姿勢をよくするどころか、むしろ悪くしているのです。

私達が呼吸を悪くしてしまうのは、状況をコントロールしようとして、又は感情を抑えようとして呼吸の仕方を間違えてしまっている時です。何かを強いられるような状況では身体を安定させる必要がありますが、ほとんどの場合正しいやり方ができていません。正しく腹筋を使って身体を支え、守る方法を忘れてしまっているため呼吸筋を使って安定させてしまうのです。
ここで重要なのは、姿勢を安定させるために呼吸筋を使ってしまうと正しい呼吸が出来なくなります。では、どうすればいいか?姿勢を正しく維持するには腰部深層筋(腰の内側の筋肉、腹横筋、骨盤底筋群、多裂筋等)を上手に使うことで、骨盤と腰部を安定させ、正しい呼吸ができるようになるのです。そうすると、立っていても座っていても腰椎に正しいカーブができていれば胸郭が持ち上がり、そこで腰部深層筋(ここでは腹横筋)が働くと横隔膜の力が外向きに働いて、下部肋骨が広がります。逆の言い方をすると、下部肋骨で呼吸すれば、腰部の表層筋(腹直筋や外腹斜筋等)の使い過ぎを防いで胴体をつぶさずにいられます。
参考資料;「感じる力でからだが変わる 新しい姿勢のルール」 メアリー・ボンド署

腰部深層筋のサポートが呼吸を促し、呼吸筋もまた、姿勢を正すことになるのです。
何事もそうなのですが、眼に見えるものと見えないものが存在します。身体の中にもそのことは言えると思います。表層筋(アウターマッスル)は眼に見えやすく鍛えやすいですが、深層筋(インナーマッスル)を疎かにしてはいけないですし、かと言って、「じゃあ、インナーだけ鍛えればいいの?」と言われれば、アウターがなければ身体が成り立たない。
鍛える優先順位はありますが、ここだけやればいい!ということはないのです。
この地球上に生きていくには、「両面」から見ていかなければいけないのです。

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